コミュニティカレッジでコンピュータサイエンスを学んだ留学生をインタビューしてみた

今回インタビューさせていただいたのは、現在テキサスの4年制私立大学で奨学金をもらってコンピュータサイエンスを専攻しているNagatoさん。編入前のコミュニティカレッジ時代にRecursionを学習していたことで、編入後でも高いGPAを維持されています。

  • コンピュータサイエンスの留学を考えている
  • 大学受験に失敗したり、日本の大学が合わないと感じている
  • 資金的に留学する余裕がある

という方に向けて、Nagatoさんのコミュニティカレッジへの留学と4年制大学への編入プロセスについてその実体験をお伝えします。

Nagatoさん

Recursion歴1年。大学受験の失敗を機にアメリカ留学。カリフォルニアのコミュニティカレッジをGPA3.95で卒業し、学費全額免除の​奨学金を獲得して4年制大学へ編入した。現在はアメリカのテックカンパニーへの就職を目指し、コンピュータサイエンス専攻で学習に励む傍ら、留学生活やコンピュータサイエンス留学などについてYouTubeやTwitterで自身の体験を発信している。

コミュニティカレッジへ留学しコンピュータサイエンスで学士を取るには

――Nagatoさん、インタビューをお受けいただいてありがとうございます。まずは簡単に経歴を教えていただけますか?

カリフォルニアのコミュニティカレッジ(コミカレ)を卒業後、現在はテキサスにある私立大学に編入してコンピュータサイエンスを専攻しています。

課題が多く大変ですが、その合間に留学生活やその方法などについてYouTubeなどで発信しています。コーチングなども行っているので、留学したいと考えている方への参考になれば嬉しいです。

――カリフォルニアのOrange Coast Collegeに留学されたんですよね。なぜ留学をしようと思ったのですか?

実は大学受験の失敗がきっかけで留学を決意しました。

第1志望の大学に落ちて、「浪人するか」「滑り止めの私立に行くか」という選択を迫られたとき、どちらも嫌だった僕はアメリカ留学というもう一つの選択肢を見つけました。

もし、アメリカで就職できれば日本の大半の企業よりも高い給料がもらえますし、万が一日本に帰国することになっても、アメリカで学位をとった留学生は日本企業にとって欲しい人材であることは間違いありません。

浪人で受験期間を延長するのか、それとも第2志望の私立でその後の人生の言い訳にするのか、とネガティブになっていた受験失敗から一発逆転を狙って留学を決意しました。

――留学してアメリカの4年制大学へ編入するまでのプロセスはどのように進めましたか?

僕はコミュニティカレッジを利用したアメリカ留学をしています。

コミュニティカレッジとはアメリカの短大のことで、日本人留学生の99%がここに通うと言っても過言ではありません。コミカレで2年勉強し、3年から違う4年制の大学に編入するのが留学生の一般的な進路になります。

僕もこのプロセスを踏んでいて、4年制のコンピュータサイエンス専攻の大学生が1, 2年生の時に取る授業の単位をコミカレで取り、その後残りの単位を4年制大学に編入してから取っています。

――コミュニティカレッジに入学するのは難しくないのですか?

コミカレは日本のような入学試験はないので、高校の成績証明書と、留学するのに問題ない預貯金、英語力の証明があれば誰でも入学できます。

ただ、コミカレは短期大学なので「準学士(Association degree)」しか取れません。「学士(Bachelor’s degree)」をもらうためには4年制大学に編入して卒業する必要があります。

――4年制のCS専攻に編入するためには何が必要ですか?編入するのは難しいですか?

コミカレでのGPAが良ければいい大学に編入できるという仕組みなので、コミカレ時代はとりあえずGPAを落とさないように必死でしたね。

その結果、私立の4年制大学に学費免除の奨学金を頂きながら編入することができ、今はその大学で頑張りながら就活を行っています。

――コミュニティカレッジに留学する前のプログラミングレベルはどれくらいだったのですか?未経験、文系でもチャレンジできると思いますか?

僕は、留学前のプログラミング経験がほぼありませんでした。そんな僕でも、コミカレ時代のコンピュータサイエンスの授業はどうにかなったので、高校で文系だとしてもこのやり方であればやれるような気がします。

ただ4年制に入ってからクラスの難易度が上がりました。コミカレ時代にRecursionをやっていたおかげで何とか助かっています。

コンピュータサイエンス専攻で学ぶ内容とは?難しい課題を留学生がこなすには

――コンピュータサイエンスの授業ではどのような内容を学ぶのですか?

コミカレではプロジェクトベースのプログラミングが授業の主な内容でした。僕のコミカレではJavaとC++を扱っていて、まずは文法を学び、プロジェクトを作成する課題があったり、理解度を確認するためのテストがあったりしました。

4年制大学に編入してからは、Data Structure(データ構造)という授業をまず受けました。これは、Binary Search(二分探索)やRecursion(再帰)、DFS/BFS(深さ優先探索、幅優先探索)などをひたすら理解して覚えるクラスです。

他にも、SQLを使ったDatabaseの授業などもあります。次のセメスターではOS開発なんかもあるのですごく怖いですが、どうにか頑張ります。

――授業は英語で行われていると思いますが、授業にはついていけていますか?語学力で学習に困ったことはありませんか?

授業は全て英語です。訛りがキツイと聞き取りに苦労することもありますが、基本的にはスライドを使った授業が多いので、もしリスニングが苦手な人でもテスト勉強などでは困らないとは思います。

――1日の勉強時間はどれくらいですか?1週間のスケジュールはどのような感じですか?

僕の場合はテスト直前に詰め込むタイプなので、テスト直前の1週間はほぼ1日中勉強しないといけないという感じです。これではまずいとは思っているので、この春のセメスターは計画的に勉強していきたいです。

基本的に週5日授業があります。上手くクラスを取れば午前中で全てのクラスが終わる日もあったりします。

――課題は多いですか?

コンピュータサイエンスのクラスで出るプロジェクトは上に上がるほどキツくなるので、今は本当に大変です。

僕は人脈を作るのが得意なので、先輩や友達を頼って難しいクラスを乗り切っています。周りを見ても僕よりプログラミング経験がある人がほとんどで、その人たちと協力しながらどうにか生き残ってるという感じです。

コンピュータサイエンスを専攻する前にやっておいた方が良いこととは?

――コンピュータサイエンス専攻で留学する前にやっておいたほうがいいことはありますか?

僕のYouTubeでも話しているのですが、数学物理、プログラミング、英語ですね。

コンピュータサイエンスは数学物理が必須なパターンが多いです。その授業でGPAを落としてしまうと、後々の奨学金や就職先に響くのでもったいないです。

コンピュータサイエンスの授業を初めて受けた時に「もっとプログラミング予習しておけば」と苦しんだので、クラスを取る前にプログラミング経験をするのは本当に大事だと思います。

あとはもちろん英語。クラスメイトとのチームプロジェクトなどで発言できないと、チームの迷惑にもなるので英語はもちろん必要です。

正直コンピュータサイエンス専攻であれば僕のYouTubeを見てもらうのが1番だと思います。インスタグラムで質問受付もしていますし、最近は僕と同じ進路で行きたい人に向けたコーチングプログラムも初めているので、そちらに入ってもらえるともっとサポートできると思います。

僕のコーチングプログラムのサイトはこちらです。

――英語とコンピュータサイエンスはどちらに注力すべきですか?

どちらも大事ですが、コンピュータサイエンスはRecursionのように効率的に学習できるサービスがあるので、ある意味「直前詰め込み」でも授業ぐらいであればどうにかなる気がします。逆に英語は長い時間をかけないと学べないので、留学前は英語に集中ですね。

コンピュータサイエンス×英語のスキルは卒業後の進路でも有利

――大学を卒業後の進路をどのように考えていますか?就職活動の目標を教えてください。

今はとにかく夏のインターンシップ探しの時期ですね。不景気やGoogle、Amazonのレイオフなども影響して、留学生はインターン探しにかなり苦労している印象です。インターンのジョブボードを見ても、ほとんどがclosedになってしまっています。

僕は運よくアメリカの企業からインターンをいただけたので一安心ですが、今後はちょっと心配です。とは言っても、英語とコンピュータサイエンスというスキルの希少価値はまだまだ高いので、アメリカでも日本でも有利だと思います。

卒業後については、アメリカでテックカンパニーへの就職を目指しています。

コンピュータサイエンス専攻での就職先や待遇は、1年目から1000万円もらうとか結構普通です。僕の友人はインターンシップで時給50ドルもらっていて、夏休みだけで200万円以上もらっていました。アメリカは日本に比べてエンジニアへの待遇がよく、僕がアメリカで就職したいのもそれが理由です。

もしアメリカで就職できなくても、日本企業において留学生は欲しい人材であると思います。就活イベントで留学生が就職先を探す就活イベントでも、かなり強い企業ばかりが参加しているので、帰国しても良い待遇の就職先を探せると思います。

――Nagatoさん、貴重な体験をお聞かせいただいてありがとうございました。